七夕の日の今日、興能信用金庫の豊若さんの計らいで、珠洲で日本ミツバチの養蜂を行ってらっしゃる岡田さんを訪問させていただくことができました。
朝、9時前に豊若さんにお越しいただき、豊若さんの車で岡田さんの事務所を目指しました。夢工房すずの百花蜜は、道の駅ではよく見かけます。これまでにも、すずなり館はもちろん、寺家のパーキングや、遠く志賀町の西山パーキングでも見かけました。私自身が元々はちみつが大好きだったこともあり、とても興味がありました。
はちみつとの出会いは、私がまだ札幌で激務をこなしていた頃。2003年、職場でアルバイトしていた韓国人留学生の李さんが、私を気遣ってくれてのことでした。松田さん、目の下黒いですね、疲れてますよ。疲れている時は、はちみつがいいですよ、ちょっと値段の高いいい蜂蜜を寝る前に毎日スプーン一杯ずつ食べるんです。そうすると、肝臓が強くなって元気になりますよ。と教えてくれました。
それ以来、はちみつ健康法と思って、はちみつをとるようになりました。これまで様々な蜂蜜を試してきましたが、ここ数年は、インドのブラックハニーが一番体に良かったようです。いつか養蜂家になりたいと、養蜂で有名なスロベニアに興味が湧き、スロベニア大使館で養蜂のお話を聞きに行ったこともありました。思えばそんな繋がりが、ここ珠洲で身近にお話を聞けるというのもありがたいことです。
若山町の鈴内という地域に、岡田さんの事務所はありました。岡田さんに養蜂や蜂蜜のことを色々とお話を伺いました。特に面白かったのは、日本ミツバチの養蜂が、これまで知っていた西洋ミツバチの養蜂と全く手法が違うことでした。日本ミツバチのはちみつが貴重だということは知っていましたが、岡田さんが教えてくれたのがとてもわかりやすかったのです。
「西洋ミツバチは家畜みたいなものだから。」この一言で全てがわかりました。西洋ミツバチは蜜を取るために育てられている、業者から買い取って毎年蜜をとる。いっぱい働く分寿命も短い。効率よく働けるように巣箱も設計されている。年に数回蜜が取れる。日本ミツバチは野生のミツバチでその逆。だから生産できる蜜も少ないけれども、手間がかからない。野放しの養蜂。巣箱を設置しておけば、一年に一回、一番上の巣箱からだけ蜜をいただいて、あとはそのまま冬が越せるように、蜜を取らずにミツバチの冬越し用に残しておいてあげる。そうしたミツバチと人との共生で成り立っている、ということがわかったのです。
これまで知っていたのは西洋ミツバチで育てていらっしゃる方ばかりだったので、日本ミツバチの話は目から鱗でした。能登には以前はみんな日本ミツバチを育てておった、との話も興味深かったです。今では少なくなり、西洋ミツバチが増えてきた、とのこと。いっぱい働く分、蜜源も必要なので、たくさん蜜の出る植物を植えていかなければならない、そうしないと西洋ミツバチが本来地元で生息できる日本ミツバチの蜜源を取り切ってしまって、日本ミツバチが生息できなくなる、という構図になっています。
そもそも奥能登に日本ミツバチが多く残っているのは、季節ごとに日本を北上していく養蜂家の方達が、奥能登まで回っていくと効率が悪いので、奥能登にやってこなかったためだろう、という通説だそうです。なるほどな、と思いました。
ところが近年、能登町で起業されたアピモンドさんが、西洋ミツバチをどんどん増やしてらっしゃるそうです。最初は日本ミツバチで採取されていたそうですが、事業として採算が合わないので西洋ミツバチに切り替えて、毎年蜂を購入されて生産量を増やしていらっしゃるとのこと。そうしたお話を聞くと、複雑な思いがします。
珠洲市はSDGs未来都市を宣言しており、持続可能な社会を切望している都市。日本ミツバチも古来種の保存、という観点では持続可能な社会の実現のために取り組んでいくべきではないのかな、と思いながら、複雑な気持ちになりました。
とてもいいお話を伺うことができ、これから何か関われたらなと思いました。
Comments